最後の注文
最後の注文
グレアム・スウィフト著
ドストエフスキーは、作中人物に自分の言葉に対する執拗な言い換え/言い訳をいつまでも続けさせることで、言葉を伝えることのできない他者(=存在)を描いた。
スウィフトは作中人物の言葉を何度も反復し、常に言葉を発したものの意図せぬ意味をその言葉に与え続けることによって他者を表現している。
どこかの批評家は、「スウィフトの本を読むことは、神が精神分析を行うのを見ているようだ」と評したらしい。
この小説において、精神分析が行われているのは間違いない。問題は、それを行っているのが果たして神か否かだ。
神なら、良くできた佳作。他者なら傑作。
ただし、この小説を本当に面白く読むにはデキャンタ(=批評/分析)が必要だと思う。
ちなみに、スウィフト読むなら、まずはウォーターランドを読むべきだ。
こちらは文句なく彼の最高傑作だから。
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